はじめてパブリックコメント的なものに提出してみた。

いまネット上を、リアルを騒がせる「東西軸」構想。
あまりのろくでなさに多くの人を驚かせたこの構想、あまり読み返していても気持ち悪くなるだけなので、
県の書類はあまり読まずに書いてみた。
ばーっと深夜のうちに書いたのであちこち矛盾が。
かき足りなさすぎる部分も。
まーいいかとあきらめて提出。
どーせそんなに読まないだろうし、
たぶんどれもこれもなんにもならんのだろーしなと。
しかしパブコメってラブコメみたいでちょとだけ響きがかわいい。
 だけど空しい響きもあったりして。
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突然降ってわいたような本事業について、市民の間ではかなり話題になっています。先日知事が始められたTwitter上でも、計画が発表された直後からしばらく本事業の話題でかなり盛り上がり、酒の席でも仕事先でも、男女を問わずよく話題になっています。
  しかし、その「盛り上がり」は、碑など小さなハード整備が多い「なんとなく中途半端な感じがどうしてもするしかけ」の多さに対する疑問であり、そういったことにお金をかけるぐらいなら、もっと違うところにかける方が「地産外商」や「コンテンツ産業育成」、「中心市街地や公共交通の活性化」にもつながるのではないかということに対するものでした。
  現在提案されている事業で気になるのは、龍馬やアンパンマンを顕彰するだけの「碑」がずいぶんと多いということです。過去に作られた碑や彫刻はたくさんありますが、多くは老朽化したり情報が古くなって、みっともない姿をさらしています。その点で、本事業でたくさんあがっている碑や足湯も、同じことが考えられます。数年後にハードは確実に維持管理費という重しになって市民に帰ってきます。その結果ゴミ袋の値段がまたあがるのではたまらない。要は、この事業が実施されてほんの一瞬誰かが潤うのはいいけれど、それで10年後に負担が増えたなあ、となるのがイヤだということです。
  私は、本事業にあげられた計画が無駄とは思いませんが、「とりあえずすぐに結果が出る」ハード事業にばかり投資するのではなく、ジワジワと効果があがってくるような長期的な投資、すなわち10年後にこの町から龍馬のような次世代を支える人材が生まれるような育成に力を入れるべきなのではないかと考えます。
  日曜市もよさこい祭りもマンガ王国も、ハードで成立している文化ではありません。どれもこれもが「人」で成り立っている文化です。決して看板や碑で成り立っている文化ではなく、看板や碑を作ったからといって日曜市や商店街が元気になるという代物でもないと思うのです。また、歴史施設や高知城についても一見ハード整備に見えますが、実際にはそれを企画運営する人々がいなければどうしようもない、劇的に「人」で成り立っているものであると思います。
 その点で、これらの「強みを余すことなく活用する」ためには、足し算的な発想で物を追加するハード寄りの施策ではなく、もっと日曜市を元気にし、商店街を含む街中をもっと楽しくするきっかけとなるような、かけ算的発想に基づく「人が生きる施策、人が動く施策」を考えることだと思います。
  また、本事業では取り組めない範囲だと思いますが、街中で働いたり起業したり暮らしたりしやすくするように不動産の流動化を進める施策も必要だと思います。かけ算で物事が動き始めて、ようやく日曜市も商店街もよさこいも生きてくるし、生き生きとした町そのものが観光資源になると思うのです。
  以下、本事業の範囲である程度できそうなことをいくつか提案いたします。

1.新たな歴史系資料館の建設について

「龍馬」にやたらこだわるあまり、自由民権運動や上士関連の遺跡、西町の郷士町、高知城、長宗我部元親などに注目がどうしても集まらないという状況が高知はずっと続いているが、これを改める契機に。せっかくやるなら中途半端な施設ではなく、街観光の拠点になり、市内のあらゆるミュージアムの拠点となるようなものを目指して計画を策定したい。

土佐の幕末ミュージアム

 長宗我部の滅亡と山内の土佐入りをきっかけに発生した身分差別が、幕末期に尊王攘夷運動と結びついておおきなうねりとなった。尊王の郷士と幕府寄の藩の間の考え方の違いは土佐の動きを迷走させ、結果的には小御所会議で容堂が岩倉具視に問題発言を指摘されるまで止まらなかった。そして、この迷走ゆえ新政府では薩長に実権を握られ、やがて土佐の者たちは居場所を失って自由民権運動へと移っていく。
 幕末から明治初期にかけての土佐の動きは、ダイナミックで非常に面白い。総じて「龍馬」ばかりになりがちな高知の歴史観光を見直し、幕末~自由民権に至る過程を存分に学べるミュージアムとして計画する。龍馬以外にまでウイングを広げれば、高知の歴史観光はまだまだ宝の山だ。
山内家資料はむろんその柱となるものであるが、現在よりもやや企画構成を幕末寄りに変えるか、山内家常設/幕末常設/企画のさび分け方を一考する必要があるかも知れない。

歴史ミュージアム共通パスと連携企画

 以前高知城400年のときにもあったが、生まれた町記念館、龍馬記念館、歴民館、武家屋敷、自由民権記念館など歴史系博物館の連携企画を展開。全歴史系ミュージアムを周遊できる共通パスも発行し、戦国時代から戦後に至るまで様々な場面で歴史に絡んできた高知の歴史資源を「見やすく」する。
 共通パスはできれば「ですか」と共通システムとし、一日電車バス乗り放題パスとセットの仕組みにすることなども検討。(ただし電車バスの一日パスは土電のみで、しかも紙なので調整必要)

2.日曜市について

本事業で実はいちばんの肝になるのが日曜市ではないかと思います。
日曜市をてこ入れし街との関わりをつくることで商店街に人を誘導し、街全体としての賑わいをつくる。住宅政策や交通政策との密接な連携も必要ですが、高知の都市観光の肝として十分な検討が必要だと思います。

銀座日曜市(2010年7月から1年間の期間限定)

日曜市は地産地消の最大拠点でもありますが、高知にやってきた県外客への地産外商の導入の場でもある。銀座のアンテナショップで本物の日曜市のおばちゃんを20人くらい連れて行って毎月一度でも銀座日曜市を開いて高知の本家日曜市を知ってもらうきっかけとする。中途半端なポスターをつくるよりもよっぽどインパクトがある。

新規参入規制を緩くする(社会実験)

新規参入店舗は入替可能にし、目立ってきている空きコマを減らす。また、農産品ばかりワンパターン化してきているので、導入件数に上限を設けつつ珈琲豆や弁当、ケーキなどの加工品の取り扱い店舗も取り入れるようにする。

出店者の負担軽減

日曜市出品者が負担している駐車場料金のサポート(今は路駐区間が塞がると有料駐車場に入れている店がある)をするほか、テント等店舗づくりの備品倉庫を設置する。

日曜市と商店街の交差点づくり(社会実験)

上記新規参入店舗について、空きコマの活用も考えられるが、可能であれば中の橋通り(追手筋~電車通り)やリブロードの通りなどを通行止めとし、新規参入店舗を並べた日曜市の新しい通りを設定する。これにより、商店街と日曜市の交差点が生まれ、現在日曜市の中だけで動いている人の流れを商店街側に導入できる。商店街はこれらの人通りを活かして自助努力で活力をつかんで行くことが必要であるし、商店街が「中心商店街」のひとつとしての意識を持つことが必要となる。
 

日曜市内交通の整備「リキシャ日曜市」(社会実験)

難しいと思いますが、2キロもあるので戻るのがなかなか大変。そこで、日曜市南側の歩道部分に地域交通を整備することを提案します。
東南アジアのリキシャ(人力車)を逆輸入し、運行。リキシャの特徴は派手な装飾やイラストですが、その部分は地元のイラストレーターやデザイナー、漫画家に描かせる仕掛けです。人力車は歩道ではなく車道を走らないといけないと思うので、県警がたぶんなかなか許してくれないと思いますが、工夫次第でどうにか実現。可能なら追手筋を止めてもいいのでは。アジア的な景観や人情のある高知ならではの企画。

食い歩きの日曜市

新規店舗について、できるだけ軽食系の店舗増ヘ誘導。今でも焼鳥や芋てんが食べられるが、さらに「食い歩き」できる市に。ただしやりすぎると商店街に影響するので、もう2-3店舗増やすのが限界だと思われる。

マニアックな日曜市ガイドブックとネット(委託事業)

これまでも日曜市に関する冊子はいくつか出ているが、あまり機能的でなかったりコアなネタが出ているものが少ないので、これを解消するPRのためのガイドブックを作成する。
また、ネット上に日曜市web版を設け、一部可能なところは直販をしてもいいのではないか。日曜市ブランドのロゴも定めて(やなせたかしや高校生ではなく!)、日曜市通販に関しては日曜市本体とは異なった形でのブランド化を図る。
※ただの入札や一部業者対象のプロポーザルでは限界があるので、広くアイデアを公募して業者を選定する工夫をしなければ、おそらく今までとあまり変わらないものになると思う。「日曜市が好きでたまらない」人がつくるようにしたい。

日曜市に関する調査(委託事業)

日曜市への来市客数、商品構成、経営者の年齢、新規参入希望者の把握など、おそらく最近ほとんどやってないと思われるので、今後の日曜市の経営を占う上でも必要だと思う

3.まんが王国土佐

今の若い世代が50代になったころ、胸を張って「今もまんが王国土佐なんだ」といえるようにしたいです。過去の漫画家を顕彰するのもいいのですが、それよりは漫画家を育成することはもちろん、漫画を沢山読んで、漫画に興味をいつまでも持ち続けてもらえるような仕掛けを目指すことがが重要ではないかと思います。様々なことが考えられると思いますが、本事業でやるとしたら。

「大人のまんが甲子園」高知県漫画国際コンペ

本格的なストーリー漫画のコンペを開催。漫画は個人的にはやっぱりストーリーだろ、と思ってます。漫画雑誌とも連携して、第一線で活躍する作家さんによる公開審査を行います。本来は漫画家を育成するゼミの開設などができればいいのですが、それは本事業で云々するのはかなり難しいと思うので、プロへの登竜門をつくる意味でも。

高知漫画図書館

実際に漫画を読める場所を確保したい。横山隆一記念館の漫画ライブラリを拡張するか図書館移設などにあわせ、いつでもなんでも山ほど漫画が読めるように。立ち読みできない本屋さんも増えているので、図書館で読んで本屋さんで買う、という行動も起きるかも。(市民からの寄付も受け付ける)

TOSA MANGA 1000

まんが王国といっても、実際今活躍している漫画家で高知の人が誰か?というのはあまり知られていない。そうした方たちの作品が一同に会した1000ページくらいのマンガ本をつくって売る!。過去の漫画家の作品から、デビューしたての作家さんまで、作家さんのお気に入りの一本をまるごと掲載したムックです。

4.おまち文化

帯屋町に限らず、中心部住宅地も含む若返りの促進策に切り替える。
そうでないと、結局お客さんは長い目で見た時に増えないと思います。
また、街が元気になればよさこいも自動的に盛り上がる。よさこい祭りをさらによくするのなら、常設演舞場よりも先に、昔のように商店街のチームがもっと増えてもっと力をつけれるように持って行くことが大切だと思います。

助成制度の期間限定の大幅拡充

店舗新設にかかる助成制度の支援額や返還期間を大幅に拡張。助成制度の受付期間は3-4年とし、財政の過度な負担にならないようにする。また、3-4年とすることで一気に若返りを図る。そのためには制度をかなり拡充しないと効果がない。
また、中心市街地の店舗だけでなく、周辺部の住宅なども含めたコンテンツ系SOHO事業者の事務所/住居付き事務所/店舗等の開設支援メニューなども展開することで、「コンテンツ産業育成」の一助とする。
※業種転換だけでなく、店舗改装の野望を持った店は多いです。これらの店が使いやすい助成の仕組みはできないのでしょうか?

レンタサイクルの設置(社会実験)

市営駐輪場の一部改装などで対応でもよいので、観光客が自転車で回れる街にする(パリや富山のような仕組みが超理想)。アーケード内は現在自転車禁止だが、これも現実に即して一部解除して良いのではないか

電車で回れる商店街(社会実験)

大橋通~はりまや橋~蓮池町通間を買い物電車区間とし、この区間の初乗りを100円に改める(初乗り区間の範囲は非常に小さく、次の区間からは200円にするなどバランスを取る)など、短区間でも電車利用を促す仕掛けに実験的に切り替えてみる。
高知の商店街は東西に長いので、ハシッコまで行った時に戻るのがしんどい。この区間で乗り馴れれば、電車も相対的に利用が増えるのではないか。

商店街の御用聞き(実験)

商店街に対する支援はどうしても「助成」の枠を越えにくいが、それゆえ個別の店の思いと行政の思いとはどうも乖離しているように見える。
県庁地域づくり支援課や市役所まちづくり推進課などが連携して、保険のおばちゃん並に街を歩いてご用聞きすることが大切ではないか。県の地域応援団の人と現場で会うと、だいたいの方が「何かありますか」と一方的に言うてくるが、その現場ごとの問題を分析、把握した上で「こんなメニューがあるけどやってみんか」と提案できるような形にしなければなかなか効果があがらない。
最初はしんどい文句ばかり聞くことになるだろうけど、その中から行政がやれることも見えてくると思う。

5.その他

事業の討議機関

こうした事業計画を委員会制度でやるのは仕方が無いと思いますが、もう少し多彩な分野から人を集めて討議する仕掛けというのはできないものでしょうか。もちろん拡張すればするほどまとまらなくなるという問題もあるので難しいのですが。
パブリックコメントだけでなく市民の意見を広く収集し、またこれを「ただ意見集めた」だけでなく、できるだけ反映していけるような柔軟な事業であることを望んでいます。

景観調整の討議機関

景観とは、建物など大きなものについていうのではありません。看板が景観のひとつとして取り上げられるように、小さな対象物であっても周囲の景観との調和が取れていなければ、雑多な風景として記憶されることになります。
現プランがこのまま実現されると、はりまや橋公園などはどんな景観になるのか想像もつきません。景観調整は歴史観光の上でも、おまち文化を楽しんでもらうのでも非常に重要な問題だと思います。景観について調整討議する機関が必要であると考えます。