本日(6/5)はR氏と高松なのだ。
さて、その前日はR氏が鰺の南蛮漬に挑戦。おいらは焼きを担当。これまで文佳人、亀泉、亀岡大吟醸などで勝負をしてきたが、ついに亀岡の氷結酒「しずく酒」も登場。やっぱりフルーティでこいつは最高なのだ。
翌朝は9時前に出発。4車線になって快適至極の高知道を走り抜け、善通寺へ10時頃に到着。さっそくお目当てのうどん屋「山下うどん」へと入る。

その後善通寺の街へと入っていくと、やたらと古びた建物が多いことに気付き、興奮の坩堝。先日も南国の後免〜野市の旧道で変な看板やとってつけたようなベランダに興奮したばかりだが、この善通寺はまた違った魅力が満載。日曜日ということもあってか人気はあまりにも少なく、梅雨時前のゆるい日差しがまた建物の色や陰影をことさら妖しくみせてくれる。おそらくかつての色街だったと思しき空間では、軒と軒とがぶつかりそうなくらいに建物が近接し、路地はぐねぐねうにうにとのびて、正面を見通すこともできない。
あるところでは、善通寺の五重塔とモルタルの控えめな造形が印象的な銭湯とがセットで撮影でき、その先にいくとなんだか住宅を改造したようなスナックの前に惚けた土佐犬が座っていたり。次から次へと「画」がやってくるような街だ。

さらに、この街のみどころはなんといっても善通寺なのだった。その名も御影堂の地下に設けられた「戒壇めぐり」。確か以前遍路に出た27号に聞いたことがあったような気がして訪ねてみたのだが、正直、直島のジェームスタレル「南寺」をはるかに凌ぐ、心や脳、体との対決を強いられる場。曼陀羅の仏様が描かれているという真っ暗闇の通路を、壁を伝いながら「南無大師遍照金剛」と唱えて進む。ぐねぐねとした通路に、いつしか方向感覚も少しだけなくなってきたところに浮かぶ赤い光。そのかすかな光に照らされた曼陀羅に思わず脚がすくみながらさらに道をゆくと、突然開ける弘法大師とその両親、八十八カ所霊場のご本尊が祀られた6畳程度の赤い敷物に覆われた部屋へと出ずる。
あまりのショッキングな闇を辿り、抜けたところにあらわれる更にショッキングな間。信心のない者であってもついつい手を合わせ、ついつい目を閉じてしまう空間。
きっとタレルはこの空間を体験したはずだ。あまりにも南寺と相似形を描く空間で、かつ南寺以上に闇の恐怖を味わえる。というわけで四国旅行におでかけの際にはぜひ。
さて善通寺を堪能したところで時間はお昼。当初の予定になかった街で予想以上に楽しんでしまった。次は丸亀。88STATIONでアイスを食べた後、猪熊美術館へ。ここは4月に来たばかりだが、やっぱりいいのでまた来てしまう。R氏は初だったので丁度よい。前回きて面白かった「風景遊歩」も会期残り1週間というところで、結構ウハウハである。ここでは、やっぱり高木正勝の映像が気持ちよかった。特に展示室側での大画面。大きなビーズソファーに寝転がって見ていると、思わず声が出る。ちなみにホール側での上映分はなんだか眠くなる。

ここでお腹がすいてきたので丸亀駅近くの「さぬきや」へ。ここはやたらと量が多くてビックリ。以前も確か一度きたことがあるのだが、こんなに多かったとは。ずいぶん小食になったからだろか。一軒目と比べると味はずいぶん違う感じ。一軒目の方がつゆがうまくて、うどんもハリがあるような気がしたが、食べ進むうちに二軒目はずるずると吸い込める味だなあと感じた。
そこからブラブラと高松坂出道を抜けて「島」に行きたい衝動にかられながら、高松入り。当然お約束の北浜アリー。ここもR氏初。もともと松山暮らしの長い氏は高松や徳島とはこれまであまり縁がなくて、だいたい初物なのだ。

Najaとか雑貨系は最近のツボにあまり入らなくて、そのかわりUmieの棟の古道具屋でテーブルをゲット。Umieはやっぱり居心地がよくて、仕事の話などしてるうちに結局2時間くらいあっという間に経過。次から次へとメモが埋まっていくのであった。最後、Umieのオーナーさんに「高知遺産」を置いてくださいということでお渡ししたら、なんと「買ったよまだ届いていないけど」とのこと! というわけでUmieには2冊高知遺産があるはずです。高松一贅沢な場所で、高知の街の写真を読む。なんかいーなー。よくわからんけど。


さらに大工町の「dodo」へ。ここは最近フリーペーパー・バイパスを一緒にやっているricco氏が撮影を担当した高松のリノベーション本に紹介されていたところで、なんだか唯一気になったので訪れてみた店。幽霊ビルというくらい怖い感じだったビルを、「管理」ごとオーナーたちが引き受けて使っているもので、3階から上は住宅になっているそう。こんな感じのビルだったら高知にもいくつかありそうだ。。。 さてdodoでは、丁度模様替え中とかでばたついているところを無理矢理押し入って、しかも高知遺産を10冊取り扱ってくれることになるわ、蔵のパンフをおいてもらったり若い若いオーナーさんは高知によく来るというので今度R邸で良ければ飲みましょうわいとかなんだかんだと30分くらいは「ものすごい勢い」で話す。
というわけで高松ともなんだか微妙ながらも縁ができた。たった2カ所ではあるけれど、こういう街のスポット的なところの方と縁できて話ができると、これから高知で何をするにも面白くなるなあなんてことを話しつつ高松を離脱・・・という手前で、高知にはない(なくてもよい)スタバで珈琲豆を購入。ここの相手をしてくれた店員さんが面白くて可愛らしくてR氏ややメロメロに。自分の言葉で珈琲のことを説明しているんだけど、スタバ本部の資料とやや食い違うことを言っていることに気付いて「あれ?あれ?」とか言ってみたりして。
この段階で20時過ぎ。本当はここで高知に帰るはずだったが、なんだか今帰っても勿体ないので徳島へ。ラーメンを食うか適当に街見物をして流すかというくらいの気持ちで高速を突っ走り、21時半に徳島着。
しかしなんだか寂しい。高知・高松ときて徳島にくると、なんだか風俗と飲み屋ばかりが目立ってあまり人の気配がない感じ。でもこの雑多感は高知や高松が失ってしまったことで、ある意味とても楽しい。だけど善通寺のようなワクワク感はあまりない。若い人の気配が少ないというか。
ほんでようやく疲れてきて、帰途。途中脇町のうだつの街並みを見て(この段階で23時過ぎ。R氏は徳島を少し出たあたりでダウン)、徐々に眠気が強くなり・・・なんとか行けるところまででも・・・と思って高速に乗り、池田PAでおいらもダウン。
気が付いたら翌早朝。まわりは一面の霧。高知に着いたら、ラッシュがはじまっていたのであった。