とさのかぜの編集委員会でお世話になっている飯國先生から教えてもらった、大豊の小さな小さなミュージアム。国道32号からちょいと脇道に入った家の中に、500点近い昭和中期の看板やら生活用品やらオモチャやらがずらりと並ぶ、隠れた高知の名ミュージアムなのだ。

館長はこの「屋敷」の隣で写真館を営む中西さん。写真の通り、一見するとただのダジャレ好きなオンちゃんなんだけど、一旦集め始めたらとことんこだわり、とことん集めて・・・わずか一年半。


そう、まだこの屋敷、開館してからたったの一年半なのだ。たまたま近所でホーローの看板を見つけてなんだか懐かしくなり、集め始めたのが去年の春。そして、以後「買って集める」のではなく「譲ってもらって」展示品をコツコツと集めてきた。
だから、同じような炊飯器とかオモチャもある。でも、これ一個欲しいとか言っても絶対に譲ってはくれない。展示品のひとつひとつを譲ってくれた、持ち主の「思い」をひとつひとつ大切にしていくためにも、これらを再び譲ったり売ったりするつもりはないんだとオンちゃんはいう。しかもミョーなダジャレまじりで。

展示も、正直いって相当うまい。もしかするとどころか、たぶん間違いなく、そこらへんのミュージアムより遥かに展示がうまいのだ。500ものアイテムがあれば普通はちょっと見疲れするし、飽きてしまうものだけど、教室の看板のすぐ下に日活ロマンポルノのフィルムがあったり、そのすぐ横にはオンちゃんが昔撮った(写真館ですから)という長嶋の写真があったり、次から次へとワンダーを提示してくる。だから飽きない。
古いレジの札束入れにはお札がチラチラ見える。はてこんなところに現金が!と思ってよく見ると、実は龍馬の一億円札だったり。とにかく細かいところまでウイットが効いてる。
経費をかけていないから、入館料もただ。金鳥のホーロー看板をモチーフにした、手作り携帯ストラップを買ってくれたら、それが少しだけ運営費の足しになるとだけいう。もはや「粋」だ。そして、経費をかけずに集めた品々だから、博物館にありがちな「展示物様」な雰囲気もない。
そんなこんなでオンちゃんと話し込むこと約1時間。最後は裏庭に集められた、今後の展示品候補たちまで見せてくれて、どう見ても今の建物じゃあ入り切らなくなるなあと思って家路に着いたのだった。
いやはや、高知はまだまだ奥が深い・・・

懐かしの不二家のつぶつぶオレンジ。ほんまもんかどうかはよくわからなオレンジのつぶつぶがはいっていて、よう飲んだ。