3ヶ月に一度やってくる土佐電鉄のバス車内誌「旅たび高知」のしごと。
むろん色々な制約はあるけれど、比較的自由に自分色を出すことが(なんとなく許されているのか)やらせてもらえるこの仕事が大好きだ。 そして、この冊子の文章を書くことになる少し前の時期になると、文章慣れしようと身体がしだすのか、このブログやtwitterあたりでも少しだけエントリーが増えるようだ。

さて、来月3月1日からバスや銀座のアンテナショップ、空港あたりで配り始める第五号の取材が先週からワタワタとはじまって、先週は3日連続で嶺北へと通い詰めた。来週もたぶん一泊の予定で最後の取材をかける。どうしても冬場なだけに撮影できるものも限られてしまうのが残念なところで、いつもの号よりはやや力を入れにくいのだけど、それでもいろんな人と次から次へとバトンタッチするように出会えるので楽しい。

これまでの号では、室戸や須崎・中土佐などに重点をあてた特集を編成してきた。それでよーくわかるのが、その土地土地ごとの人々の性質の違いだ。室戸は基本みんなぶっきらぼうだけど、蓋を開けてみれば(もしくは酔っ払ってみれば)かわいらしいおんちゃんやおばちゃんがいた。曇りの日が多いけど、晴れたらとことん晴れる。メシは基本魚で、水は酒。そんな感じ。
須崎・中土佐は、イメージ的には開けっぴろげに見えるけど、意外ととっつきにくい感じがすることが多くて、室戸とはまた違う港町人の個性が垣間見えたりした。取材がしやすいようでしにくいというか、恥ずかしがり成分がそのままぶっきら成分に転化していってるような、そんな感じを受けることが多かった。むろんそれがイヤな感じだとかいうのではなくて、それがまた港町らしくて、とてもいい。

そして今回の嶺北。ここはみんな冗談が好きな感じがする。表向きあまり相手にしてくれなさそうだけど、ちょっと話をすれば途端に冗談を言い出すような、しかもなかなか家路につかせてくれないような人なつっこさに溢れている。一方で、顔写真を撮ろうとすると半分以上の確率で彼方此方に身体をぶつけながらでも逃げ出して、モデル代をもらわんといかんきほらwと男女問わずに撮られ逃げ口上を語る。・・・これは、恥ずかしがり屋でソロバン勘定をきちんとしているということか?
そして、男にはたまらない、豊かな食。土佐赤牛や黒牛など畜産の地域だけあって、肉がやたらとうまくて安くて、どこの店もボリュームがあって、大阪のお好み焼き屋のソースが店毎家毎の個性を競い合うように多くの店が「秘伝のタレ」を持っていることをさりげに自慢してくれる。

これはちょっと自分には意外な発見。取材に入るまで、嶺北は高知の中では数少ない、何もないところだと少し思っていた。きれいな棚田と美味しいお米はあるけれど、なんだかいろんな意味で静かなところだと思い込んでいた。

実際訪ねてみないとわからない。話を聞いてみないとわからない。「取材」という名分があると、こういう楽しみがあるもんだと、この仕事をやるたびに思うのだ。

ちなみに上の写真は、本山の商店街にある駄菓子屋さんの80過ぎのおばあちゃん。とっても話し好きのおばあちゃんで、写真を撮りすぎて「私この人嫌いw」と冗談で言われてしまった。いつまでも元気でいてほしい。

旅たび高知