4日目に戻る

パリも5日目。恐怖の昨日も、アッという間に喉元過ぎて、今度は南の方を歩くことにする。カルネがなくなってしまったのでまた券売機。相変わらずなんか操作がしにくいというか、手許のコロコロで選択するというのが慣れないけれど、それでも2,3日前に券売機の前で挙動不審になってパリジャンに「どしたの?」と言われたことなんてはるか昔、ササっと買って再びメトロである。

まず最初に訪ねたのはサンジェルマン・デ・プレ。のだめカンタービレで上野樹里が涙した聖堂。なんつかステンドグラスがすごい。でも特にミサとかはしてない時間帯だったので、まあこんなもんかという感じ。

ここからウロウロクネクネと気になる路地をいきながら、のだめが千秋に噛み付いたと思われる商店街や、ノートルダムの南の路地にあるアジアっぽい商店街などを1時間近く歩き続ける。
やっぱこーゆー地元っぽいところは面白い。なんというか普通だし、軒先にある並ぶものも日本と種類こそ違えどなんか並べ方やポップも似てたり、おばちゃんの雰囲気も似てたりする。

で、ノートルダム。ここは近づいたあたりから鐘の音が響き始めた。あまりこういう鐘の音が鳴るサウンドスケープ的なものって今の日本にはないから、単純にワクワクする。てか鳴らしすぎだろとは思ったけど。

大聖堂の前には観光バスも多く集まり、大道芸人も車いすにのりながらトランポリンでジャンプを繰り返したりしてる。なんかこの日は身障者のイベントらしく、関連グッズやサポーターの展示が行われていた。
  

寺院の中に入ると、ちょうどミサ中。ミサなんて子どもの頃に通っていた友達の小さな教会での体験以来のこと。なんかカードみたいのを貰って、席に着くように指示される。で、聖歌の合唱。なにをいうてるかなんぞさっぱりわからないけど、なんかフシギと涙が出た。あまり意識もせず、なぜか、不意に。


 ノートルダムを出て、サン・ルイ島方面へ向かう途中では、昨日モンマルトルの公園で歌っていたバンドを発見。昨日は近所のおんちゃんに「なにそんなところで歌いよらあ!」みたいな感じで怒鳴られて撤収するシーンを目撃したんだけど、どーにもここではそんなことにはならなかったようで、気持ち良さそうに歌ってる。んで、のだめが千秋にハイキックをくらわした橋の上でも演奏会。日曜日はこんな感じであちこちで音楽が流れているようだ。
    
セーヌの北岸に戻ると、普段車がびゅんびゅん飛ばしてる車道が歩行者天国に。うーん、なんかゆとりだねえ。
・・・でもここで気づく。なんかパリの杓子定規なイメージって、あちこちで画家がなんか絵を描いてるよーな感じがするけど、そんなん一人もおらんぞ!という事実。音楽家は多い感じだけど、美術家はどこにおんねんと。ルーブルで模写してる学生や爺さんくらいしか見てないぞ。


昼は昨日まで泊まっていたシャトレ・レアル駅の近所で。パキスタンだったかパラグアイだったか、とにかくあのあたりの国の人がやっているらしい店で、店員さんが「日本から来たの?私も昔留学していた」なる内容の話をしてくれる。でも、やっぱなんかうまくコミュニケーションできない。もっと話したいのに、どーにもうまく伝わらない。あと、困るのはメニューがよく分からんということね。こればっかりはマジで困る(ドイツでは更に困ることになる)。
   

腹ごなしができたところでまたメトロで移動。オペラ経由でLe Peletier駅へ。ここから南へ続くパサージュを点々と見て行くことにする。まあ今日はお休みの店がほとんどなんで、ただ雰囲気を楽しむだけになるんだけど、パサージュ・パノラマ、パサージュ・ジョフロアなどなど。まあここはほんま次回ゆっくり堪能、という感じですな。そう、もう5日目ともなると、正直疲れてしまって、惰性的に歩いてはいるけど買い物したりとかそういう余力がだいぶなくなってきてるのだ。


      で、腹の調子もちょっと悪くなってきたので、オペラ座の近くの、なんかこれぞ「パリのカフェでごわす」みたいなところに恐る恐る入って(しかもちょっと大きめの店、これ重要)、ゆっく~りとトイレをタノシム。まあトイレもなんか超豪華で、ある意味落ち着かんのだけど。
  
まだまだこの日は歩く。オペラ通りを南へ向かい、ピラミッド駅の近くのジュンク堂だったかとにかく日本の書店前で、三好カメラ夫妻と合流。なんか久々の日本人、なのだ。んで、彼らと共にさらにあたりをウロウロ。この日の道程はgoogleMapの緑のラインにある通り、かなりハードに歩き回っていて、もう最後の方は足がボーみたいになってしまうのだけど、1時間ほど歩きつつフランス料理店、というか地元の料理店へと突入。

エスカルゴ、はじめて。

さて、当時書いていたここでテキストは息切れ。あまりにも書くべきことが多すぎて、結局は筆が止まってしまい、今振り返ってみてもなんとも勿体ない。

旅はまだ半分にもなっていなくて、この翌日にはパリを後にしてドイツへと向かっている。

ドイツで行ったのは、活版印刷の聖地マインツ、「ダンスフェスティバルフライブルグ」で踊る、松山の友人・ヤミーダンス公演へと立ち寄ったフライブルグ、そして最後にミュンヘンだった。

我々夫婦としては、大都市すぎるパリよりも地方都市巡りとなったドイツの方が居心地が良かった。特に小さい町なのにいい本屋があったマインツ、小さな紙屋さんや雑貨屋さんなど、お気に入りのお店がいくつも見つかったフライブルグは、またいつか行きたいと思う町になった。

コロナで世界中を自由に行き来するのがしにくくなって、ロシアがウクライナに侵攻し、ただでさえ(海外旅行にそれほど興味がなかったという意味でも)遠かったヨーロッパはさらに遠くなってしまった。

マインツの印刷博物館
ここまでマインツ。大聖堂の前にある広場では市が立ったり、カフェがあったり。
フライブルグはトラムと共存する町
夜もウインドウショッピングができて、なんとも理想的な町・・・
ミュンヘン。大阪のような印象の大都市。