高知西武の跡地利用が決まらない。
はりまや橋という高知一の交差点にありながら、いまははす向かいの国際ホテル跡(東横インが入ることになった)と共に絶望的な地方都市の現状を指し示す廃墟としてその姿をさらしている。

図書館、シネコン、インキューベータといろいろな話が浮かんでは消えた。なんせ築40−50年近い建物だけに天井は低いし、土地の形も凸凹で四方を道路に囲まれているのであまり発展性がない。はりまや橋の西南角ということでアクセスもいまひとつ。
少なくとも図書館とするには耐震性とかの面で不安があるし、インキュベータ施設とするにも果たしてそこまで需要があるのやら(工科大が街に出てくる足がかりにしたいだけなような気がする)。結局そんなこんなで頓挫し続けてきたわけだが、なんでも土地活用の方策を決める期限はあと少しだとか。
いま一番の有力案はシネコン+商業施設らしく、NHKは数日前に決定したと報じていた。しかしその後数日間高知新聞は一切そのことに触れず、昨日の夕刊でやっと出たと思ったら「まだわからない」とのこと。この報道の温度差にはなんか微妙な背景があるような印象を受けるが一体どうなってるんだろう。
高知新聞ニュース■どうなる旧高知西武 25日で撤退丸2年■

まあそのことはおいておいて、シネコンができたとする。そうなったら街はどうなるんだろうか。もともとイオンにシネコンができるできないという話になった折り、西武跡地にシネコンをつくったらどうかという話が結構盛んに行われていた。
当時はシネコンへの妄想や過剰な期待が強い感があったが、実際にイオンにシネコンができ(開館から半年もたたずに昨年の県内映画鑑賞者数の6割にあたる30万人が入場。今年は65万人以上を想定)、街の映画館が8割減という驚異的な落ち込みを見せたりしてるわけだから、もう一個シネコンができればまあ間違いなく街の映画館は潰れるはずだ。

しかし30万人の都市で2つもシネコンがいるかといったらいまひとつわからないところがある。人口的には高知はたかだか80-90万人程度の市場であり、しかもお年寄りがその3割を占める。さらに映画を見る人ということで絞っていくとせいぜい5万人くらいの人が年に4〜5回映画を見に行き、10万人くらいが年に1〜2回見に行くといった程度だろう。去年の映画館入場者総数50万人というのも妥当なところだ。

いまのままでいけば、イオンのシネコンは65万人以上の入館がある見込みだという。ただこれは間違いなくご祝儀入館があるとは思う。既存映画館はだいたい1/3程度まで落ち込んでいるということだからこのままいけばこの一年間での入館者数はだいたい15−20万人。これにシネコンの65万人を足すと80-85万。どーみても多すぎる。たぶんまだまだ既存映画館はつぶれる。そして西武跡地かイオンシネコンのどちらかがつぶれる。これ生態系の鉄則。
高知新聞ニュース■シネコン開館5カ月 入場者30万人間近■