いの町枝川に脈々と伝わる伝統芸能「八代の農村歌舞伎」へ行って参りました。
この歌舞伎は地元の青年団が八代八幡宮に毎年奉納しているもので、よその歌舞伎や芝居が続々と倒れていってしまった中で、次の代へときちんとそれを引き継ぐシステムが生きてきたとされている。
なるほど確かに地域の子どもたちもみんな集まって踊ったり遊んだりしているし、若い人もたくさんいる。
なにより舞台に上がっているのは基本的に20-30代以下の青年団メンバーで、舞台を見守るのはかつてその舞台にも立ったこともあるであろう地域のおんちゃんおばちゃんたち。芸を地域として引き継ぎ引き継ぎ、江戸時代の昔から今へと続いてきているわけである。
6時過ぎ、まずは地区の最若手が演じる「式三番叟」と「大黒踊り」からはじまり、次に子どもが演ずる「白浪五人男」へ。主役である子どもたちが口上を決める度におひねりが舞台に投げ込まれ、時々そのおひねりが役を演じている子ども本人にぶつかったりのハプニングも。なんかすごいぞ。子どももこの大舞台で一歩も引いていないし、大人たちは子どもを見守り、応援する構図がよく見える。地域と子どもの関係というか、そんなのがきれいに生きているなーとやや感動。。。
ここからが長い(笑) 幕間を利用して、枝川小学校の生徒による「ソーラン節」やカラオケ、女形の舞などなどのプログラムが絶え間なく入り、現代劇に近いのではないかというくらい笑える「豊年踊り」も演じられる。もう内容的には完全にクダけているんだけど、それがまた「型」にはまっていなくて、おいらのような伝統芸能の素人にはとってもわかりやすい。
9時頃からはメインの歌舞伎「矢田の渡し」。これがまた、一人一人がきちんと演じているし、なによりかにより面白い。歌舞伎の基本の型は守りながら、その型にはまらずに演じている感じもした。そして、それが心地よい。。。
↑後半で「かかし」が「すずめ」を倒すシーンに注目
6時に始まり、終わったのは10時。昔はこうした奉納芝居や奉納歌舞伎や地域の最大の娯楽だったというけれど、そのありさまがまさに現代に残っているという印象だった。これは十分娯楽になる。つまらんテレビをみているよりもずっと面白い。そして、なんでこういう場が日本から消えて行ったのか、ふとわからんくなった。