仕事の帰り道、猛烈な勢いで風景が変わりつつある高知駅北口のコンビニに立ち寄った。
ここはもともとサニーマートがあった所。
すぐ近くの高知スーパーも消え、「スーパー空白地帯」となった近隣の不便を補うために野菜や肉なども置かれた「ニュータイプ」のコンビニだ。
店を出てあたりを見渡すと、30年にも及ぶ高架計画で開発から取り残されていた長屋街はすっかり姿を消し、ミサ○やセキ○イのようなプレハブ系住宅やコンクリートの「おしゃれ」な建物ばかりが立ち並びはじめている。
「高知遺産」でも一章を割いて取り上げた一角だが、まあいとも簡単に風景は変わる、暮らしも変わる、そんなことをここに建つと思ってしまう。

このコンビニの裏に、プレハブの建物が狭い敷地に立ち並ぶ高知駅北口商店街がある。
スナックや理髪店など、かつて駅の東を南北に貫いていた比島街道沿いにあった商店が移転・仮営業しているものだが、
この商店街は、今年の大晦日には灯を落とす。
商店主さんたちは何らかの形での店舗存続を望んでいるようだけど、おそらくは行政はそうした思いに配慮することなく片付けを開始する。
この商店主たちがかつて軒を連ねた旧道は、もうない。
いま、この旧道は跡形もなく消え、真上にはプレハブやチープなアパートが立ち並んでいる。
いったいこの界隈にあった商店のどれほどが、この新しい町で引き続き商売を続けることになるのだろう。
この家に暮らす人々がかつて住んでいた家、歩いていたはずの路地も、すっかり消えた。
新しい道、新しい公園、新しい家。
すべてがさっぱり新しくはなったけど、あの細い路地を辿って行く楽しみはもうここにはない。
徹底した区画整理で、この町は記憶をすっかり失ってしまった。
その引き換えに、安全や安心が保証されることになったのは間違いない。
かつてここにあった下町は、どう贔屓目に見ても防災上よろしくなかったし、防犯上でも問題があった。
決して品格がある町とはいえなかったかも知れない。
だけど、最後に残るのがこのコンビニと(しかも店員はサンタの格好だ)プレハブ住宅だというのなら、
果たしてどっちが品格のない町並みなんだと思わず問いたくなる。
この町の変化を喜ばないのは、たぶんこの町に暮らしていないからだと思う。
ただ、もともとこの界隈に生まれ育ったおいらとしては、なんとも切ない感じはする。
このような切なさを、この先も旭や潮江、万々あたりの市民はまだまだ感じなければいけない。