前回の記事からさっぱり時間が空いてしまいましたが。。。やっぱり小旅はきちんとかかなければ勿体ない、ということで。
知恩院は、京都の寺の中でもなんだか別格に好きなところだ。浄土宗の総本山で、派手さはないがなんともスケールがでかい。祇園から少し北にある門から入ってしばらく行くと、どーんと山門が見えてくる。
しかも雪景色。これが見たかった。これが見たくて走ってきた。黒光りする門にふわりとのっかる雪の景。広い境内も一面の雪。余計な匂いもなんだか消えて、もくもくと焚かれた線香の香りだけが鼻の記憶に残る。


続いてお隣の青蓮院門跡へ。こちらはおいらの京都一のお気に入りスポットで、室町時代の相阿弥による池泉回遊式庭園、江戸時代の小堀遠州による霧島ツツジの庭、さらに趣のまったく違う宸殿前の大楠の庭がセットでみられるちょっとお得な庭なのだ。
で、お得なだけでなく、いうほどにはひとけがなくて、のんびりと庭を楽しむ時間がつくれるのもこの庭のいいところ。こんな雪の日にいけば、瓦屋根から少しずつずりおちていく雪やら氷柱の行方を追い続けることだってできる。
ここでたまらないのは大楠の庭。一面に杉苔が敷き詰められた庭に、右に橘、左に桜が植えられる。その背景には巨大な楠。相阿弥や小堀遠州の庭に比べると特に歴史的な価値が高いわけでもないけれど、ゴチャゴチャと「考える時間」を頭の中で用意してしまう庭よりもずっとシンプルで、ただただ妙な間と、妙な迫力をもって迫ってくる。この日は雪で苔も隠れて、いつもとは違う印象。どーも苔だらけの時のほうがいいらしい。。。

ここでようやく昼。京都に来たらお約束の河原町六角かねよで「きんし丼」。ついでにちょっと豪華に茶碗蒸しもつけてみた。
10年のブランクのうちにさっぱりと変わった京都のなかでも、ここだけは大学時代と何一つ変わってない。渋い注文票も、マッチも箸も、ちょっと傾いだ建物も、ダンディーな番台のおんちゃんも。そして、いつ来ても変わらない客の多さと。

昼を過ぎると雪もさっぱりと溶け、普通のこの後はガケ書房やら北山の知人の店を回ったりして、夕方に京都国際マンガミュージアムへ突入。こちらは小学校廃校跡を活用したマンガの図書館と博物館をガッチャンコしたようなものなのだが、ひとことでいえば公共のマンガ喫茶みたいなもので、なんかちょっと異様。
館内のあちこちの棚から引っ張り出したマンガを片手に、机や椅子だけでなく階段やらほんのちょっとの隙間やら、腰を落とせる場所ならもう館内どこでも・・・という感じで、大人も子どもも無関係にマンガをぞっこん読み耽る・・・という感じ。
おいらはマンガは大好きだけど、ここまでくるとちょっと気味が悪い。目の前にたくさんの人がいるというのに、基本的に館内はそんなにうるさくはない。どちらかというと、静か。机に5冊くらいずらりとマンガを積んで読み耽っている人もいれば、机に突っ伏して寝ている人もいる。親子で楽しそうに読んでいる人もいれば、ただのおたくらしき人もいる。
インターネットカフェやらマンガ喫茶なんてものはたまに良からぬものとして批判されたりしてるけど、ここに広がる光景は、そんなのとあんまり変わりはしない。しかもこれが京都市の博物館。すてきといえばすてきだけど、変といえば変。とりあえず国際マンガミュージアムという割にはミュージアムになってないし。そして、ライブラリというにはちょっと貧弱なマンガ揃えにも思えるし。些か京都しからぬ中途半端さを感じた。