ここんとこ月に2-3回、伊野通い。というのも、手漉き土佐和紙の若手職人の人たちと、元気のない土佐和紙をどーにかするべということで話し合いを続けているのだ。
現在の土佐和紙。
楮も三椏も栽培農家が減り続けており、“純”土佐和紙は近い将来漉くことができなくなるかもしれない。土佐和紙自体も、高知県の産業全体がそうであるように加工が弱く、素材だけの勝負状態。付加価値を付けることができぬまま、他所の和紙の後塵を拝し続ける。
で、みんなと話し合いを重ねるなかで出て来たのは、暮らしのなかにもう一度和紙を取り込むということ。結局手元に和紙があっても使い道を知らない。せいぜい障子か照明か。それゆえいまいち需要が広がらない。いろいろ出ている商品にしても、どこか工芸チックなものが多くて訴求力が弱い。土産にはいいかも知れないけど、ふだんづかいするにはいまいち苦しい。
そこらへんをリセットしていくために、デザイナーや作家さん、クラフト系作家さんの力も借りながら、まだまだホントは使える和紙のありかを探すための展覧会「使える和紙展」を開催することになった。初回となる今回は10人の作家さんやデザイナーに声をかけ、持っていたくなる手紙や暮らしまわりの道具をつくりだす。いわば和紙でつくった作品の見本市だ。
まだどうなるかはわからないけど、毎年恒例の催しにして、産まれた作品から商品化も展開して、ゆくゆくは「小さな産業」になるまでもっていきたいところ。なにより、楮や三椏の栽培面積も増やして、「土佐」和紙を守って行きたいところ。